身毒丸観てきました!面白かったです。
グラインダーの火花が荒々しい。鉄が熱で溶けた匂いが漂ってきました。これが花火だと美しさと繊細さが見受けられるのですが、これから始まる物語のように命がけの火花が舞台上に降り注いでいます。
霧の中から姿を現す百鬼夜行のような人々。ここは現世か夢なのか。
歌詞がとても印象的です。懐かしの昭和歌謡曲風のメロディが泣かせます。カーテンコールのときに流れていた曲も物悲しくてよいです。カゴメカゴメの替え歌も好きです。
予習するのをすっかり忘れていたのですが、それが反ってよかったです。なぜあれほど母を慕い、その身が憔悴しきってしまうほどの想いを抱いているのかがよく分かりました。母親が地獄にいると聞いて、すんなり受け入れてしまうのが凄いなと。毎日お仏壇に手を合わせていても、天国に行けないのは悔しくないのかしら。
上手側だったので身毒丸の行水シーンどきどきしながら見てました。
純粋な母親への想いが、撫子の登場によって穢れていくと思い込む身毒丸。撫子への愛を認めたくないから、あんなに反抗していたのかな。全身全霊をかけての愛。
せんさく可愛かった~。身毒丸との絡みはオペラグラスで見てしまいました(オイ)嫉妬によって殺されてしまう無垢な魂に涙です。あんなに身毒丸を慕っていたのにね。身毒丸にしたら、自分の欲しい物を全て手にしているせんさくを許せなかったのでしょう。
撫子は妖艶。母として求められながらも、女として生きていく決意をするまでの葛藤が、狂気じみていて圧倒されました。撫子、花散る里、と聞いて源氏物語を思い出すのは、一応履修していた証しということで(汗)光源氏も母親を失い、義母を愛した人でした。貴種流離なのも程度の差こそあれ、身毒丸と同じかも。
愛する身毒丸に疎まれ、愛が憎悪に変わるとき女って怖いなあ。
「おかあさん!ぼくをもういちどにんしんしてください」という台詞は、撫子の望み全てが詰まっています。なんて愛。あの人の子を産みたいというのは分かるけれど、自分を生んで欲しいというのはなんて感覚なんだろう。
全てが無に帰るとき、男と女は再び出会う。
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