ジョー・マクベス役がジェームズ・マカヴォイだったので、とても楽しみにしていたこの作品。
最初は料理を作るのが大好きな好青年だったのですが、謎の清掃員三人組の言葉に惑わされ、最愛の妻に背中を押されて狂気に駆り立てられていく様が見ていて恐ろしかったです。
キッチンには切れ味のいい包丁が並んでいますから・・・
現在では血液一滴でも現場に残してきたら、遺伝子捜査で逮捕されてしまいます。マクベス夫人が証拠を隠そうと必死になるシーンはミステリー仕立てになっています。“捕まるときは二人一緒”という下りにやられてしまいました。犯行のまさにその時、通りをフーリガンたちが騒ぎながら歩いていったのが、サッカー好きなロンドンだよなと(笑)。
和気藹々と料理を作っていたキッチンも戦場と化し、ジョーが料理人たちに当たりちらす様は暴君そのもの。
チーフ昔はあんなに可愛かったのになあ、と皆の目が語っています。(ちょっと違う)
フライパンのソースが、ダンカンの血液となりぐつぐつあふれ出す様はホラーです。あれは怖いって。
マクベス夫人のエリャですが、やり手の給仕長そのものでした。ダンカンが自分に気があると分かっていて、思わせぶりな態度を取るあたり、女の武器全開です。ダンカン殺害後の記者会見でのコメントを見て、ビリー(バンクォー)とマクダフがあきれ返っていたのには笑えました。「ありゃ、凄い女だな」って。
ビリーとマクダフの子どもたちが幼かったため、なんだかもう辛くて辛くて。
マクダフの下の娘が、そりゃもう愛くるしかったのですよ。あれは駄目だって。
ジョーの“俺は不死身だ”発言は、傍から聞いたらかなり危険です。マクダフも、こんな奴に全て台無しにされてしまったのかと、怒りを通り越して悲しくなってしまったように見えました。
最後にビリーの息子が、三ツ星レストランの前で一服するマルカムをじーっと見ていたのが怖かったです。
三人組の言葉によれば、あの少年が将来お店を引き継ぐことになるんだよなあと。マルカムは、経営にも料理にもあまり興味がなさそうだったもの。
黙って清掃車に揺られながら去っていく三人組。何事もなかったかのように、日常へと戻っていく彼らの存在が一番印象的でした。ひょっとしたら、彼らは悪ふざけをしただけだったのかもしれない、と
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