「戦場のフォトグラファー ジェームズ・ナクトウェイの世界」
wowowで観賞。戦場写真家のドキュメンタリー。
内戦などで遺体が放置されていたのをようやく掘り起こし、遺族の元へ運びます。
涙にくれている人々に近づき、写真を撮る。
信頼してもらえるように、彼らを敬い同じように悲しむのだと。
遠い国からきた外国人に写真を撮らせるのは、そうでもしなければ自分達の状況を世界の人々に知ってもらう方法が無いから。
虐殺が行われた現場で、臭いがひどいからと皆マスクをして映像を記録しています。
遺体は全て、袋に入れられています。そこに花を投げ入れる子どもたちが。きっと、自分の家族がそこにいたのでしょう。すでに泣くことも無く、無表情で花を置いていきます。
戦場だけでなく、貧困にあえぐ人々の写真も撮っています。
難民キャンプにいるのに、骨と皮だけになってやせ衰えている人々。
インドネシアでは、ゴミの山スモーキーマウンテンでゴミ拾いをする子どもたちの写真を。田舎から都会に出てきたけれど、住む場所が無く線路と線路の間で住む最下層の人々。ある一家は、父親が酔って線路の上で眠ってしまい左の手足を切断する重傷を負ってしまいました。それでも父親は物乞いに行き、川で子ども達の体を洗ってあげます。最近の日本ではとみに親による子殺しが多く、それに比べるとどちらが幸せなのかなと。物質的に豊かであるけれど、精神的には日本はかなり貧しい国になってしまった気がします。
「人の不幸を元にして、自分は生活している。だから自分は、"幸せ"という言葉は使わない」と言う一言がとても重く響きます。家庭を持つことなく、ただ写真を撮りつづける。
ナクトウェイを知る人たちによると、仕事の事で愚痴を言ったりしないそうです。
孤高の人。「苦悩の図書館が、彼の頭の中にはあるのよ」と。
いつも悲しそうな表情なのは、そのせいなのかもしれません。
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