舞台「グッドラック・ハリウッド」に行って来ました。
映画監督ビリー・ワイルダーをモデルに描いたこの作品、主人公のボビー・ラッセルに長塚京三さん、ショービズ界の階段を上り始めた青年デニスには筒井道隆さん、ラッセル監督の助手メアリーには久世星佳さんと、軽妙な会話で展開する笑えて、そしてほろりとさせられる内容となっています。
脚本は何本も書いているけれど、ここ何年も映画会社に買い取ってもらえないでいるボビー。
彼の事務所に、三本も脚本を売った青年デニスが間違えてやって来ます。
ボビーは今の自分の境遇を嘆き、天井に縄を吊り、縊死しようとしていたところだった。デニスの登場により、ボビーは自殺を留まることに。この縄が象徴的に、暗転のときにもスポットライトが当てられています。
ボビーが、どん底の自分を忘れないようにとそのままにしているもの。
ボビーは自分の脚本を、デニスの名前で映画会社に売り込むことを提案する。デニスは快く応じるも、密かにボビーのことを慕っているメアリーには大反対されてしまいます。デニスは、憧れの対象だったボビーに会えただけで、興奮していたのだから。陰ながらボビーを支えてきたメアリーとしては、結果がどうなるのか分かっています。ボビーが傷つくだけだと。
ボビーとデニスのやり取りは、世代のギャップが反映されています。ボビーは自分の絶頂期のことを忘れられず、何かというと話のネタになってしまう。食生活にも好みが反映されていて、ボビーはコーヒーにバターたっぷりのパンが大好き、デニスはパンはいらない、コーヒーもちょっと…というヘルシー派。こんな二人だから協力しようにも、ボビーが主導しているようでいて、しっかりデニスは自分のペースで仕事をしていきます。
時代がデニスに見方しているんですねえ。そんなボビーにも見方はいます。それは、メアリー。
あの終わり方は好きです。あの台詞で締めてくれましたし!
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