手紙には続きがありました。
『僕には危険が迫っている。何かあったら両親に知らせて欲しい』
高校の用務員が亡くなり、アパートからこの手紙を含めて、様々なものが出てきたそうです。高校のゴミを溜め込むなんて、悪趣味としか思えません。しかし、これがきっかけで、殺人として再捜査が始まることになりました。慎重にしなければならない、両親に自殺でなかったかもしれないと、期待を抱かせてはいけない。
殺人だったら、自殺の原因は両親ではないから。
スコッティの口から出る言葉には、彼にしか分からない悲しみが込められています。スコッティも同じだものね(泣)
トレヴァーは午後六時から始まる居残り授業を命じられ、その数分後に亡くなりました。うーん、授業の様子が録画されているなんて。しかも十数年も保存されているとは。教室に監視カメラがあるなんて考えられません。
両親はトレヴァーについて、引きこもりがちで友人もいなかったようだけど、自殺する子ではないと話をします。
カート・コバーンが亡くなったときも、かなり落込んでいたのだそうです。感受性が強い子で、ニルヴァーナの曲に共感を抱いていたと。父親がいくら注意しても、素直に聞く年齢じゃないでしょ。本人もドラッグじゃなくて、曲が好きだと言っているのですし。
トレヴァーは悩みを抱え、ティーン・ホットラインに相談をしていました。
そこで知り合った女性ドーン・ヒルと親しくなったのも、もっともな事です。
電話を通して声だけは分かっていても直接会ったことの無い二人。
トレヴァーが亡くなった日の居残り授業で、初めてお互いの顔を知ったのです。それでも最初はトレヴァーは分からずにいたようです。ドーンは優等生で、あの時一回限りしか居残りを命じられていません。
録画された映像は、細工されていました。
最初の十分が何度も繰り返されているのです。全員が静かに勉強していると見せかけるために。
それなら、居残り四人組は何をしていたのでしょう。
ボリス・ハドリック、逮捕歴あり。今はドーナツ屋で働いています。刑務所に入っていたことも承知で、店長は雇ってくれたそうです。良かったねえ。映像を加工する腕前を持っているのは、お前しかいない、と問われボリスは過去を思い出します。ドラッグの原料となる硫酸を盗むために、四人で化学室へ行った。ラクエルという少女は、トレヴァーに夢中だったそうです。カートの恋人だったコートニー気取りで、トレヴァーに付きまとっていたのだと。担当教師は六時にならない戻らない。それまでに一度家へ戻り、硫酸を置いてきたのだが、トレヴァーは既に死んでいたのだと話をします。ラクエルはトレヴァーとドーンが隠れて付き合っていたと知っていたようだとも。盛り上がった四人は、生徒がロッカーに隠していた銃を盗み出しました。しかし、ドーンが秘密にしておかないと命はないと、銃を鞄に隠してしまいました。トレヴァーの死因も銃ではなかったし。
ドーンはなぜトレヴァーとの仲を隠していたのか。
ホットラインでいつも同じ時間に電話をしていた二人。ドーンは母親の再婚相手フィリップ・ヒルから乱暴を受けていました。いつもはトレヴァーが相談していたのですが、今日はドーンが泣きながら相談をしています。
トレバーは止めさせてやると決意しましたが、実際に会ったことはなかったそうです。
二人が付き合っていると分かったら、義理の父親に何をされるか分からない。ドーンは恐怖のために、口を閉じていたのでした。
卒業アルバムを見ていたニックが、トレヴァー、ボリス、ラクエルの三人の一言メッセージを見て、自殺同盟を組んでいたのではないかと気付きました。
ドーンは優等生だったけれど、他の三人は落ちこぼれでした。生きていても意味がないと思い、自殺を考えたようです。どうせなら、死ぬ前にドーンの父親を殺そう。そのためにトレヴァーは手紙を書いたのでした。
ボリスはやる気だったけど、トレヴァーが止めた。
だから最後にトレヴァーを見たのはボリス。
ラクエルの一言で、ボリスが嘘を付いていたと分かりました。
「本当は自分が死ぬはずだった」
ボリスの両親は息子が死んでも悲しまないような人でした。ボリスは自殺を決意したけど、トレヴァーはドーンを愛しているから死ぬわけにはいかないと決意をしました。ボリスはまたしても孤独になったと思い、ヤケクソになり屋上の端へと向かいます。トレヴァーはボリスにも生きていて欲しかった。生きていれば、いいことがあるからと。揉み合いになり、トレヴァーが足を滑らせて地上へと落下して行きます。ボリスが手を伸ばしても、もう届かない。
過失致死、それがボリスの罪。
両親は息子がドーンに愛されていたこと、友人の自殺を防ごうとした事実を知りました。フィリップ・ヒルも逮捕されたし。良かったこともあります。でもトレヴァーが生き返ることはない。
原題『Detention』は居残りの意味があるそうです。そういえば数学のテスト酷すぎて、居残りやったっけ…。あの妙な高揚感は二度と味わいたくないものです…。
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