辞任に追い込まれた第37代大統領
ニクソン/北大路欣也氏。信念の塊のような人。
インタビューであれだけ朗々と自分語りできるのは、自分に自信がなければ出来ないですね。やはり大統領になるには、それだけの器がないと駄目なんだろうなあと。するべき事をやったという
一方的に話すばかりでも飽きてしまうのか、フロストに対して興味を持ったのが運のつきとでも言いましょうか。番組収録中よりも、電話での二人の会話のほうがニクソンの本音が表れていて楽しめました。何気にフロストの心配までして、懐の深いところもあって。最後は“大統領”という憑き物が落ちたようで、すっかり爽やかな人になってました。なんだか憎めない人。
英国出身、気鋭のインタビュアー
フロスト/仲村トオル氏。人当たりのいい好人物という印象。
なんで誰も俺を止めてくれなかったんだ~と嘆いていましたが、あの情熱は誰も止められませんよ。周囲がもう駄目だとあかさらまに不満を述べているとき、一人だけ飄々としていたり。でも一人きりになると落ち込んでしまう。人前で弱さを見せない強さが魅力的です。
皆で戦略を練っていたのに、初回のインタビューでは生かすことができず。話の腰を折らずに、相手の話を熱心に聞いたのが結果として成功したように思えます。そして最後には攻撃に転じる。信仰心を引き合いに出されたのは、クエーカー教徒のニクソンにとってダメージだったでしょう。大統領としてではなく、リチャード・ニクソンとしての言葉を引き出せたのがフロストの勝利かと。
ジム・レストン/佐藤アツヒロ氏。時代背景を説明してくれる頼もしい人(笑)。
年齢的に一番若いのですが、フロストよりも頼もしく見えます。
彼が書類の山からニクソンの会話を拾い上げなければ、あそこまで追いつめることは出来なかったでしょう。影の功労者。
ボブ・ゼルニック/安原義人氏。英国人は理解できないと嘆く人。
リハーサルでニクソン役を演じていましたが、想定問答そのままのやり取りが本番にも出てきました。狙いどころは間違っていないのだから、さすがにベテラン記者です。ちょっと弱気なところが玉にキズ。
ジョン・バート/中村まこと氏。フロストが信頼を寄せるテレビプロデューサー。
長い付き合いでフロストの良き理解者でもある人。広告枠が埋まっていなくとも、なんとかなるでしょ~という前向きさが好きです。それを見てゼルニックはいらっとするわけですが・・・。怖いもの知らずな人々が集まらなければ。この企画は成功しなかったなと。
シフティ・リザール/中山祐一朗氏。お金大好きエージェント。
若造から金を巻き上げましょうと、ニクソンの耳元に悪魔の囁きを吹き込んだ人。あれだけがっちがちに取り決めをしてから、収録に望むなんて。契約社会と言われる理由が分かったような気になります。
ジャック・ブレナン/谷田歩氏。ニクソンの元主席補佐官、海兵隊の大佐経験もある実直頑固な人。
革靴に靴紐がないなんて許せません、この一言に規律の厳しい軍人出身さを感じました。献身的にフロストに仕え、尊敬の念を込めて見守っているのが素敵だなと。フロストたちに対しては殺気を放っていますが、フロストが語りに入ると途端に穏やかな眼差しになるのが燃えポイントでした。感情的になると、相手の思うツボですよ・・・。
フロストが感謝の念を伝えるシーンはまるで今生の別れのようで、悲しみを誘います。
モノクロのチラシ版とは雰囲気が異なり、俳優の皆さんそれぞれの格好よさがまた別に感じられました。
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