舞台「タイタス・アンドロニカス」を観て来ました。
とはいっても、自分が行ったのはさいたま芸術劇場です。
本日13日と明日14日は富山でやってます。行きたかったけれど、急には時間とお金の都合がつきませんでした。
さいたま芸術劇場には初めて行きました。
与野本町駅から徒歩7分となってましたが、周囲に何もないのでもう少し長く感じられます。
大ホールだったのですが、舞台と客席がとても近かったです。
開演前、ホワイエには実際に舞台で使用される衣装類が置かれてました。
もっとじっくり見ておくんだった!!
舞台ではリハーサルのような感じで、すでに俳優さんたちが姿を表しています。
通路ですれ違ったりもしましたよ。
客席最前列の真中の席だと、本当に目の前で俳優さんたちが演じてるのが観られますね。
上演中、短刀がお客さんの足元に転がってましたもの。
タイタス役の吉田鋼太郎さんは、一芝居の間にぐっと老けて見えるほど迫真の演技でした。
自ら息子を切り殺したときの勇ましさと、罠にはめられて息子たちを失い、愛娘のラヴィニアまでもが汚され舌と両手首を切り落とされて哀れな姿となった様を目にしたときの悲痛なまでの悲しみ。
タイタスを罠に陥れたのは、ゴート族の女王でローマ皇帝サターナイナスの后となったタモーラ。
麻美れいさんが演じています。タモーラが命乞いをしたにも関らず、それを無視し、彼女の長男の命を奪ってしまったタイタス。タモーラは復讐を誓っていたのでした。
タモーラが息子を失った悲しみにも際限はなし。復讐は復讐しか招かない。
そんな悲しみに浸る彼女に哀れみを覚えたのか、サターナイナスはタモーラの美貌に気づいて妻とします。
サターナイナスを演じるのは鶴見辰吾さん。タモーラに利用されているとは露知らず・・・。
タイタスを舞台の端からじっとにらみつけている青年がいました。
あまりの殺気に、目をそちらに向けるのも怖いぐらいでした。
小栗旬さん演じるエアロンです。自分の台詞がないときでも、常にタイタスをにらみ続ける。
怒りや憎しみには常にエネルギーが必要です。
悪魔の化身のようなエアロンを演じるにあたり、かなり筋肉質な体に作り上げているのが見て取れました。
タモーラの生き残った二人の息子、ディミトーリアスとカイロン役の大川浩樹さんと鈴木豊さんも筋肉質でいい体つきでした。上半身裸の衣装だし、森の中のシーンでは赤いリリアン製のふんどし一丁姿で登場されます。
目のやり場に困りました(笑)赤いリリアンは血を表しているのです。
タイタスの長男ルーシアス役の廣田高志さん、右側二の腕に大きな痣のあとがありました。
もう黄色っぽくなっていたので治りかけという感じ。しかし、あれだけ大きいと痛かっただろうなぁ。
殺陣が激しいので、怪我も絶えないのでしょうね。
たった一人で生き残り、ローマ帝国を率いていかれる方です。
エアロンの悪巧みに気づき、彼を死へと導く役。うーん、格好いいです!
少年ルーシアス役の西本健太朗さん、最初女の子かと思いました・・。綺麗な顔立ちしてます。
声がちょっと枯れてしまっていたのですが、がんばって演技されていました。
開演前に、グレート義太夫さんと仲良さそうに話していたのが印象的。
作品と同じように、皆から可愛がられてるんだなぁ。
悲劇のラヴィニア役の真中瞳さん、舌を切り落とされる役なのであの状態で演技するのは大変だろうなぁと。
でも、タイタスがタモーラの息子二人を殺害し、その肉体を料理して母親に食べさせるという計画を考えついたとき、側にいたラヴィニアの心の底からの嬉しそうな表情が忘れられません。・・怖いです・・・。
笑ってるのに、とても怖い。復讐に微笑むラヴィニア。涙にくれていたあの弱々しい女性は、どこへ消え去ったのか。
ラヴィニアの愛するバシエイナス殿下には、横田英司さん。
タイタスが勝手に、自分の兄サターナイナスとラヴィニアを結婚させようとしたときには、大慌て。
謀反を企ててるとか言われるし、弟は辛いよ・・。
映画版の「タイタス・アンドロニカス」では、ほとんどバシエイナス存在感なしだったけど・・。
横田さんのバシエイナスは素敵でした。
映画だと、アンソニー・ホプキンスがタイタスを演じていました。彼の場合、気に入らないやつは全て料理して食べてしまいそうな勢いが・・。(それはレクター博士で、別の映画)
ストラットフォード・エイボンで、シェイクスピアの全作品を上映して行くイベントが行われているのですが、この蜷川さんの「タイタス・アンドロニカス」は来月英国で公演されます。
もう追いかけて行きたいぐらいです。
あのイアン・マッケランの"リア王"も上演されるそうだし。
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