彩の国さいたま芸術劇場 インサイド・シアターで「さいたまネクスト・シアター」の『真田風雲録』を観て来ました。
大ホールの舞台上に造られたコの字型の観客席。野外劇場のように、上から下を見下ろすような座席でした。黒いビニールシートが置かれていたのは泥除けのため。戦場は泥で出来ていたのです。左サイドの最後列とは言っても、五列目で見やすく、泥も飛んできませんでした。
数年前に大阪城に行ったときの写真です。

ここを舞台に戦が行なわれたんですねえ。
場内に夏の陣のミニチュアがあり、何気に撮ったものです。
しっかりと真田幸村を撮影してました、笑。

使い捨てにされる浪人たちが、今の派遣切りに重なって見えてしまいました。
パンフレットの解説に「60年代の安保闘争と重なってしまうのですが」というインタビュアーの一文があり、現代に置き換えるとどうなのかなと思いまして。戦って敗れていくほどの強さは今の時代にはないけれど。
筧十蔵のぼやきが一番身近に感じられました。
武士でもなく、百姓でもない。どっちつかずだけれど、ひとまず暮らしていける。何かしなければいけないと思うが、何が出来るでもない。不幸でもないけれど、幸福でもない。
『城内軍評定の事』では、それぞれの言い分に納得。そっちで決めてくれと優柔不断な秀忠にも、つい同情してしまいます。
時代の潮目にありながら、十勇士は身近な恋愛問題にも悩むわけでして。
佐助は人の気持ちが読めることを理由に、逃げ回ってばかり。見ていてついイラッと。お霧はずっと佐助一筋なのに。
好感度が高かったのは千姫。自分の気持ちに常に素直なのです。でも決して自己中心的でなく、相手のこともちゃんと考えている。あの温和な秀頼に、愛した女ぐらい守ってやりたいと言わせるんだからたいしたものです。

横田栄司さんの幸村は格好よかったです。部下のためには頭も下げる!!個性の強い部下をまとめる、懐の広い中間管理職って感じですね。後は、もう少しよその部署との交渉や根回しをしてくれるといいんだけどなあ、というタイプ。この人のためにも働こうという気にさせてくれます。

真田幸村が戦死した地とされる安居神社です。
最後は分かっているけれど、それぞれにも見せ場があり、からっとした終わり方でした。佐助ガンバレ。
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