ニューヨーク、マンハッタン。
青年がニューヨークの高層ビルから飛び降り、あわやという所で浮上し、そのまま空を駆け巡ります。
と、思ったら夢落ちでした。とほほ。空を飛ぶ夢を見つづけているこの青年ピーター・ペトレリは、看護士をしています。自宅療法をしている男性の面倒を見ているのですが、娘から昏睡状態になったので見て欲しいと連絡が入ります。その女性シモーヌ・デヴォーに好意を寄せているピーターですが、私には恋人がいるの…とあっさり拒否されてしまいました。可哀想にねえ。父親の様態は安定し、なんとか持ちこたえたのが幸いです。
微妙に気まずくなったため、ピーターは家を後にします。
ピーターは兄のネイサンのもとを訪れます。兄さんなのにネイサンとはこれ如何に、なんて言ってる場合じゃありません。ネイサンは下院議員選挙に出馬するために大忙しです。弟の妄想に付き合っている暇はありません。しかも母親が万引きしたと警察から連絡があっては。
警察にいる母親に、ネイサンとピーターが会いに行きました。一年前に父さんが死んだからって、しっかりしてくれよ、ネイサンは万引きの理由も聞かずに立ち去ってしまいました。
あの子(ネイサン)は、父親と同じで自分のことばかり考えている。あの子と一緒にいると大変でしょ。自分が一番でないと駄目だから…。ピーターは兄の影に隠れる形になっている目立たない子だったのです。でも下院議員を目指す兄に、看護士の弟、優秀な兄弟じゃないですか。
選挙事務所にピーターが戻ると、兄が警察に手回しをして、母親の逮捕記録を抹消したところでした。ネイサンはピーターに「自分は短気な所があり、裏目に出ている。温和なピーターが選挙事務所で手伝ってくれれば、家族想いの人物像が得られる」と弟を利用する気です。またピーターも分かっていて引き受けるのですから。
確かに母親の言う通り目立ちたがり屋です。
インド、マドラス三日前。
神が自分の姿に似せて作ったのはゴキブリって、また過激な持論を展開しています。彼の名はモヒンダー・スレシュ。遺伝学の教授です。人ゲノムの解析法を見ると、ここ最近変化が見られる。人間が持てる可能性を発揮するべき時が来たのだ、と生徒たちの前で熱く語っています。あのー、生徒ドン引きなんですけど。
そこへ父親で同じく遺伝学の教授だったチャンドラー・スレシュが殺害されたと訃報が入りました。
チャンドラーは荒唐無稽と思われる研究のためにインドを去るはめになり、ニューヨークでタクシー運転手をしながら、理論を裏付ける対象ゼロを探していました。運賃を巡るトラブルによって、殺害されたと警察は処理をしたようです。しかし、モヒンダーは生前父親が、誰かに見張られていると話していたことが気になり、父親のアパートを訪れます。父親の遺志を引き継ぎ、死因を特定するためです。
部屋には大きな世界地図が壁に掛かり、各地にピンが留められ、そこに紐が通されて不思議な形を描いています。創世記と書かれた箱に、見出しに名前と特殊能力が書かれたいくつものファイル。
誰もいないはずが、隣室から携帯電話の着信音が聞こえてきました。誰かが先に侵入し、父親の研究を奪おうとしている。そう思ったモヒンダーは地図をデジカメで撮影し、ニューヨークに刺さっていたピンを外し、ファイルの入った箱と、サイヤーと書かれたカセットテープを手に慌てて家を出ます。
モヒンダーはブルックリンの父親が暮らしていたアパートへやって来ました。仕事も引き継ぐつもりです。
いやー、ゴキブリ踏み潰さないで(泣)これがよほど印象に残ったからか、誰かが踏み潰してバラバラになったゴキブリに襲われる夢を見ましたよ。
ネヴァダ州ラスベガス。
シングルマザーのニキ・サンダースは、息子のマイカが優秀なために、なんとか私立の学校へ通わせてやりたいと思っています。そのために朝の忙しい時間にも、息子のために人肌脱いでガレージでひと稼ぎです。パソコンにカメラを繋ぎ、ネット上でストリップをするのでした。しかし、相手がケチだったために、交渉炸裂。
マイカが学校に遅れるよと心配するのと同時に、何者かが家を見張っている気配に気づき、慌てて車を出します。実はニキのストリップを見ていたのが、東京にいるヒロ・ナカムラの同僚アンドウ・マサハシだったんですねえ。ケチな男(苦笑)就業時間中に何を見てるんだって。アンドウ・マサハシなんて、どっちが名字でどっちが名前なんだか。アンドウなんて名前はないですよねえ。
学校へ着くと、ニキが学費滞納の件で校長室へ呼び出されてしまいます。マイカは『ナインス・ワンダー』というコミックスを読みながら、母親を待っています。私立学校はお金持ちが通う場所で、貧乏人は来るところじゃない、そう言われているようで感じが悪いなあ。金がないなら退学なんて…。ニキも頭に来たようで、感情的になっています。
「こんな所、こちらから願い下げよ。さあ帰るわよ」てな感じでマイカの手を引っ張って行きます。
私立に生かせるためにマフィアのリンダーマンから、三万ドルもの借金をしたのですが、思うように返済できずにいたのです。三万ドルに利子がついたら、一体いくらになるのでしょうか。
マイカを友人宅へ預け、一人で家へと戻ります。
ガレージに行くと、リンダーマンの取立てや二人が待ち伏せをしていました。利子を付けて五万ドルを返せ、さもなければ、いますぐに服を脱げ。ニキは身の危険を感じ、従おうとしますが、チャックにかかった手が動きません。鏡に映った自分の姿が目に入ります。
ニキが携帯電話の着信音で目を覚ますと、二人の男の惨殺体が転がっていました。ガレージもめちゃくちゃになり、血がそこいらじゅうに飛び散っています。
鏡に映るもう一人のニキ。口に指を当て、しーっ静かにと目配せをします。ニキの中にいるもう一人の自分。
テキサス州。
チアリーダーのクレア・ベネットは、いくら自分の体を痛めつけても、すぐに回復することに疑問を抱き、ある実験を繰り返していました。地上二十五メートルの高さから飛び降りるところを、同級生の友人ザックにビデオ撮影させるのです。悲鳴を上げながら飛び降り、慌ててザックが駆け寄ります。すると右肩はあらぬ方向に出っ張っていますが、引っ張るだけで元通り。頬の切り傷も、見る間に消え去ります。左脇から何か出ているよ、と言われて、シャツを上げてみると肋骨が三本飛び出しています。イタタ。右手で押し込むようにすると、すっと元通り。それでも誰にも教えない気でいるんですよね。若い子の考えることはよく分かりません…。自分の体を痛めつけても何もならないのにねえ。
帰り道、線路を歩いていると火災現場に遭遇した二人。
クレアは救出活動を見ていましたが、あまりの火の強さに近寄れずにいると分かると、そのまま飛び出していきました。ザックにカメラを回すようにちゃんと指示してから。火に巻かれそうにまっている保安官を助け出し、なんとか助け出しました。クレアの救命活動に感動した消防士たち。しかし、クレアの焼けた服の下は無傷のまま。重度の火傷を負っていて、然るべきはずなのに。重体の保安官に、皆の気が取られているうちに、クレアは逃げ出しました。
ニューヨーク、マンハッタン。
画家のアイザック・メンデスは、描いた記憶の無い絵に悩まされていました。ドラッグ中毒から立ち直ろうとしているが、なかなか上手く行かない。そんな時に描いた絵が、全て現実のものとなるのです。それも自爆テロや、列車の脱線による火災事故なと不吉なものばかり。自分はおかしくなってしまったのではないかと、思わずにいられません。列車の火災事故、クレアが遭遇したものじゃないですか。
病院には既に二度行ったけれども、治らない。ますます焦ってしまいます。アイザックの恋人シモーヌは、一緒に治そうと励まします。ああ、ピーターが憧れる女性は、アイザックの恋人でしたか。
モヒンダーが運転するタクシーに、ピーターが乗り込んで来ました。
ピーターは「自分の存在が特別だと思ったことはないか?」とモヒンダーに尋ねます。ああ、モヒンダーが探している人物の一人がここにいるのに!!
「特別な遺伝子コードをもっている人間が、人類を継ぎの段階へと導く。運命だよ」
ピーターは頭上で起きている日食に気を取られています。世界のどこかでは、月が完全に太陽を隠している。
サングラスかけていると、よく見えますよね。黒い下敷きで何十年も前に見ましたよ。
ここではお互いが誰かを知らずに、別れてしまいます。
ピーターが向かったのは、シモーヌの家でした。シモーヌはアイザックのためにモルヒネが必要だったのです。
看護士のピーターなら分かるだろうと呼んだのでした。ピーターの気持ちを知りながら、利用するなんて酷いですわ…。
ピーターを下ろしたモヒンダーは、次の客を拾いました。
その男は、スレシュという遺伝学の教授がインドにいて~と、モヒンダーと父親の関係を探って来ます。
父親を殺した奴等だ、そう気づいたモヒンダーはタクシーを捨てて逃げ出しました。
東京。
朝のラジオ体操をやりながら、日食に気づいたヒロ。
うーん、今時こんなことやっている会社はあるんだろうか。またしても日本への勘違いが…。
ヒロは時を止めて見せたと、アンドウに自慢してみせます。ミスター・スポックみたいだろ!!と。なんだかこのオタクぶりが合っているなあ(笑)でも相手にされず。スーパーヒーローへの憧れを熱く語って見せます。しかしこの居酒屋もまた、アヤシイニホンだらけですよ。
帰りの地下鉄で、テレポーテーションに挑戦します。
むむむむむ。
目を開けると、そこはセントラル・スクエアでした。「ヤッター!!」時差があるから、夜に移動しないとね…。
クレアの母親は犬のミスター・マグルスに夢中です。ブリーダーとはいえ、その可愛がりぶりはいかがなものかと。せっかくクレアが再生能力のことを打ち明けようとしても、「炎に入っても火傷しなかった」と文字通りとらえずに、話をそらしてしまいます。炎が何か別のものを意味していると考えてるのです。まあ、普通の人はそうですよね…。信じてもらえずに不満そうなクレア。
後片付けを手伝うクレアですが、流しに指輪を落としてしまいました。拾おうとし、排水口に付いている粉砕機に右手を突っ込んでしました。うわぁぁぁぁ痛い痛い痛い、指、指が(泣)『スーパー・ナチュラル』やホラー映画で同じパターンを見て、嫌~と思ったのですが、またしてもここで!!!日本では排水口に粉砕機は付いていない事のほうが多いですよね。危ない危ない。
クレアの様子がおかしいと心配した父親が声をかけます。慌てて右手を背中の後ろへ隠します。
「実の両親に会いたいと思って」
なるほど養子だったのですね。ならむずかしい年頃で悩みがあると思われます。まさか細胞の再生能力の高さに怯えているとは、夢にも思わないでしょう。
あれ、この養父、モヒンダーのタクシーに乗車して来た怪しい男ですよ。
またこんな所で。
ピーターとシモーヌが、アイザックのアパートを訪れると、麻薬の過剰摂取のために気を失って倒れていました。ピーターは、アイザックの描いた一枚の絵に惹きつけられました。そこには空を飛ぶピーターが描かれていたのです。両手を大きく広げ、風を受けて空中に浮かんでいる姿が。自分の夢と全く同じものが、目の前にあるのです。アイザックの絵を見たピーターは、ビルから飛び降りることを決意しました。
兄のネイサンを呼び、空中浮遊する様を見せようとします。
「今度は僕が特別な人間になる番だ!!」
十五階建てのビルの屋上から、両手を広げてバランスを取り、一歩踏み出します。
引力に逆らうことが出来ず、まっ逆さまに落ちていく。ぐんぐんとスピードが上がり、危ないと思った瞬間。
空を飛んでいたのはネイサンでした。
慌ててピーターの手を掴みますが、上手くバランスが取れずに、ふらふらと地上へ落ちていきます。
えええ!?
ネイサンなの?!
ピーターでなく。
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